2016年2月1日月曜日

福島原発事故が起きた2011年3月24日から3月28日の「阿智胡地亭の非日乗」の記事


2011年03月28日(月)
「公益企業・東京電力の社長」と「クルマメーカー・トヨタの社長」
トヨタの社長である豊田章男という人はアメリカ議会の召喚に応えて自らが矢面にたって、トヨタの車の人身事故の原因究明の質問に答えた。

かなりの間、日本国内の大手メディアはアメリカを怒らせたと、トヨタと豊田社長に対して冷たい記事を書き続けた。
 (なにしろ日本の大マスコミにとっては、アメリカを怒らせるのが日本の国益を守るよりはるかに恐ろしい・・、というか理由はともかくアメリカを怒らせないのが日本の国益だと思っている。)

しかし初めから終わりまでトヨタの社長は決して逃げなかった。
時に声を震わせ、時に涙を浮かべながらも、アメリカの国会議員のトンデモ侮辱的な発言にも誠実に答えていった。

 トヨタという巨大企業が最大危機を迎えたとき、社長に例え創業者一族のボンであろうとも、この人を適格者として選んでいたトヨタの幹部たちの慧眼に恐れ入る。もちろん巨大になりすぎて求心力を創業者一族の御曹司に委ねるしかなかったという面があったとしても。

それに比べると、東京電力の勝俣会長が後任に選んだ清水正孝という社長。一クルマメーカーの社長の社会的責任と電力会社の社会的責任は比較なんか出来ないほど後者の責任は重い。電力会社は日本国では法律で地域独占事業が認められているのだ。

 清水社長が表に出られないのなら、次の社長にこの人を選んだ勝俣会長が逃げず需要者の前に出てきて、当事者としてこれからこの事故をどう解決するのか説明してほしい。

☆今回の大事故の報道では大手新聞・テレビの本性や根性が見えてきているが、もし東京電力以外の大企業でこのような大事故を起こしたら、全大手マスコミはメディアスクラムを組んで悪者を公衆の前に引きずり出し、血祭りに上げている・・だろう。

しかし彼らは強きを助け弱きを挫く。東電は悪くないのだ。

東電と長い付き合いがあり、クニタミに対する公正中立な事実の報道よりもその付き合いの方が大切なんだろうな、きっと。

 トヨタさんも広告の大スポンサーだったのに、この違いは何?
お役所よりお役所と言われる電力会社に対する遠慮ですか?

それにしても言い訳せずにきちんと出るべきところに代表者を出したトヨタはえらい。

*週刊ダイヤモンドweb版 2008年2月1日から引用。

東電社長交代。勝俣会長の役割は原発再開か

東京電力は22日、今年6月に勝俣恒久社長が代表権のある会長に就き、後任に清水正孝副社長が就任するトップ交代人事を発表した。

 実力社長が会長に就くことで、「院政に近いかたちになるのでは」(電力関係者)との見方が強いが、東京電力は現在、未曾有の難局に立たされているだけに、居心地のよいポストとはいえなそうだ。

「そろそろ疲れてきた」。

ある電力関係者によると、勝俣氏は半年ほど前から周囲にこう漏らしていたという。

 実際、交代会見の席で勝俣氏は「昨年6月の時点で辞めてもよかったが、電気事業連合会の会長として、(東京電力社長職を)続けることになった」と、胸のうちを明かした。

 勝俣氏の社長在任時には逆風が吹きつけた。

 2006年末~07年にかけて、東京電力を含む電力12社は、発電設備のデータ改ざんが発覚。

 特に東京電力は02年にもデータ改ざんが露見しており、勝俣氏の経営責任が問われたのだ。だが勝俣氏が辞任となれば他電力への波及も避けられなかっただけに、辞めるに辞められなかった。

 2007年7月には新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が停止、その後の対応のまずさもあって批判の矢面に立たされた。その柏崎刈羽原発は現在も地震の影響を調査中で、「再開のメドは皆目見当がつかない」という。

 業績面でも原発停止によるコスト増加で、今年度は28年ぶりに最終赤字に転落する見通しで、来期以降も先行きがまったく不透明なのである。

 新社長となる清水氏は馬力があり、物怖じせず、なんにでも前向きに愚直に取り組むといわれる。「カミソリ勝俣」の異名を持つ切れ者の前任者とは性格が大きく違うが、組み合わせはよさそうだ。

 勝俣氏は今後の自分の役割を「電源地域との人的つながりを引き継ぐこと」としているが、本音を探ると同原発の再開まで自分でけりをつけたいというところだろう。

 院政といっても、勝俣氏が原発関連の問題に専念し、清水氏が業務執行に専念する役回りが明確になれば、いい役割分担といえるかもしれない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 野口達也)

*勝俣会長の経歴

2007-07-16現在 こちら から引用

【経歴】
昭和15年3月29日生
東京都立新宿高等学校を経て
昭和38年3月東京大学経済学部卒業
昭和38年4月東京電力㈱入社
昭和56年5月同社営業部 (課長待遇)電気事業連合会事務局派遣
昭和58年7月企画部調査課長
昭和60年7月企画部企画課長
昭和62年7月企画部副部長
昭和63年7月神奈川支店高島通営業所長
平成3年2月企画部副部長
平成5年6月企画部長
平成8年6月取締役企画部長
平成9年6月取締役企画部担任兼業務管理部担任兼総務部担任
平成10年6月常務取締役
平成11年6月代表取締役副社長
平成13年6月代表取締役副社長新事業推進本部長
平成14年10月代表取締役社長(現)
平成16年5月(社)日本経済団体連合会副会長(現)
平成17年4月電気事業連合会会長(現)
平成18年6月KDDI㈱取締役(現)

【備考】
兄は元新日本製鉄副社長、弟は勝俣宣夫・丸紅社長。

☆昨年12月、経済産業省のエネルギー庁長官が東京電力に天下りしている。大手新聞テレビではこの報道はあった?16時追記あり。 1月1日付で東京電力の顧問に就任した石田徹さんのプロフィールが経済産業省のHPに掲載されている。

「資源エネルギー庁長官 プロフィール
石田 徹(いしだ とおる)

生年月日
昭和27年11月1日

学歴
昭和50年3月 東京大学法学部卒業

主な職歴
昭和50年4月 通商産業省入省
平成元年6月 資源エネルギー庁長官官房国際原子力企画官
平成元年10月 資源エネルギー庁長官官房原子力広報推進企画官
平成2年2月 大臣官房参事官(国会担当)
平成3年5月 機械情報産業局情報処理システム開発課長
平成4年12月 大臣秘書官
平成5年8月 資源エネルギー庁公益事業部開発課長
平成7年5月 日本貿易振興会デュッセルドルフ・センター所長
平成10年6月 資源エネルギー庁公益事業部計画課長
平成11年6月 機械情報産業局総務課長
平成12年4月 内閣総理大臣秘書官
平成13年7月 大臣官房企画課長
平成14年7月 大臣官房審議官
平成15年7月 大臣官房総括審議官
平成17年9月 貿易経済協力局長
平成19年7月 産業技術環境局長
平成20年7月 資源エネルギー庁長官」

☆私が見逃しただけで大メディアは報道していました。
asahi.comから引用。

前エネ庁長官、東電顧問へ「天下り」 退官から4カ月余
2011年1月5日4時7分

石田徹・前資源エネルギー庁長官

 経済産業省資源エネルギー庁の石田徹前長官(58)が退官して4カ月余りで、東京電力顧問になったことがわかった。東電では過去3人の通産省(現経産省)OBが顧問を経て役員になっており、石田氏も役員就任が有力視されている。

 顧問就任は1月1日付。報酬は支払われるが、公表していない。東電は「見識や経験などを総合的に勘案して就任をお願いした」としている。政府内では、温暖化対策のための排出量取引など電力業界に負担が重い制度が検討されており、経産省との関係強化を図る狙いがあるようだ。

 東電は旧通産省時代から同省OBを受け入れてきた。エネ庁長官経験者も石田氏で2人目。最近では、エネ庁で部長職も務めた白川進・元通産省基礎産業局長が昨年6月に副社長を退任したところだ。

 エネ庁は、電気料金改定や発電所建設などの認可や監督の権限を持ち、電力業界に大きな影響力がある。国家公務員法では以前、退職後2年間は関連業界に再就職できない規定があったが、自公政権時代の2008年の改正法施行で自ら就職先を探す場合は制限がなくなった。

 鳩山政権は省庁の天下りあっせんを禁じたが、石田氏は東電が直接就任を要請したため、対象外という。今後、官僚がこれまでの企業との関係を使って再就職し、「天下り」をする例が相次ぎそうだ。(竹中和正)

国家公務員法では以前、退職後2年間は関連業界に再就職できない規定があったが、自公政権時代の2008年の改正法施行で自ら就職先を探す場合は制限がなくなった。

せっかくこれまで2年間は天下りを禁じていたのに、官僚と自公政権のなれあい談合で骨抜きにされていた・・。国家的旦那衆たち(エスタブリシュメント)は既得権を守るために万全の知恵を出しはる・・



治に居て乱を忘れず     関西電力へお願い
君子安くして危うきを忘れず
存して亡ぶるを忘れず
治まりて乱るるを忘れず
ここを以って身安くして国家保つべきなり

君子安而不忘危
   存而不忘亡
   治而不忘乱
是以身安国家可保也

『易経』


注1)安くして・・平穏無事であること
注2)泰平の世になっても、乱世のときのことを忘れない。
平穏無事のときも、万一のときを考えて備えを怠らない。

☆まこと過去の歴史においても、人間の社会に初めてのことは何もないらしい。

☆いま自分は、関西電力の配電を受けているエリアに住んでいる。日夜、関電さんのお蔭になっている。しかしこれまで当地の原子力発電所の位置や基数を気にしたことはなかった。事実関係をネット上の情報で確認した。

1、関西電力の原子力発電所の位置(画像の2段階クリックで拡大)

2、福井県のHPにある児童向け説明。(画像の2段階クリックで拡大)


3、関西電力のHPの最新の巻頭文。

2011年3月16日

東北地方太平洋沖地震にかかる関西電力の対応について


・この度の東北地方太平洋沖地震により尊いお命を亡くされた方々のご冥福を、心からお祈りするとともに、被災された方々やご家族はじめ、関係する皆さまに、心からお見舞いを申し上げます。また、行方不明となっている方々のご無事が、一刻も早く確認されることを心からお祈りいたします。

・当社は、被災地域に対して、電力の応援融通や復旧支援を通じ、総力を挙げて最大限の取組みを行ってまいります。

・応援融通については、周波数変換設備(合計容量:約100万kW)を通して融通する必要がありますが、電力各社と協力しながら最大限の電力融通を行っております。

・復旧支援については、原子力部門・ネットワーク部門の人員の派遣や、化学消防車・発電機車などの資機材の提供を行っております。

・また、当社は、電力のライフラインとしての重要性を改めて認識し、当社管内の電力の安全・安定供給の確保に、引き続き、真摯に取り組んでまいります。

・さらに、今回の事故を同じ原子力事業に携わる者として重く受け止め、当社の原子力発電所につきましては、引き続き、安全・安定運転ならびに設備の安全確保に万全を期すとともに、実施可能な対応をすみやかに行います。また、今回の事態の推移を注視しつつ、さらなる必要な対策を実施し、全社を挙げて最大限の努力を続けていきたいと思います。

当社としては、電力供給力は今後も十分確保できておりますが、お客さまには、引き続き、省エネルギー、節電をお願いいたします。

以 上

4、関西電力の役員(画像の2段階クリックで拡大)

各役員の社歴詳細はこちら

☆役員の皆さま、治にいて乱を忘れずです。1000年に一度の乱も想定してください。そして抽象的な理念の文章だけではなく、三陸沖クラスの津波が若狭湾に来た時を想定したときの、具合的な発電所の放射能事故予防策を、各大新聞の一面広告を使ってすぐ公開してください。よろしくお願いいたします。☆

♪独り言・・それにしても東電と同じでなんでこんなに副社長さんが多いんやろか?普通の企業では考えられんわ。

関西電力のHP こちら
 
「原爆の子」NYで初上映 新藤監督99歳の誕生日に
☆昭和19年32歳で軍隊に召集された広島出身の新藤兼人さんの同年兵は100人。殆どの兵は家族持ちだった。終戦時生き残ったのはそのうち6人、帰還した新藤さんは映画の脚本家に戻り、のち監督となった。戦死した94人は全員が両親や妻子からすればかけがえのない、杖とも柱ともする人たちだった(映画・陸に上がった軍艦)。
6%の生還者に入った新藤が戻ったのは、日本の映画界とっては大きな僥倖だった。

2011年3月26日 09時38分TOKYO Webから記事引用。

 原爆の悲惨さを描いた新藤兼人監督の劇映画「原爆の子」(1952年)が、完成から60年目の今年、米ニューヨークで初めて上映されることが、26日までに決まった。

 監督の99歳の誕生日に当たる4月22日から、ブルックリンのBAMシネマテークで「新藤兼人回顧展」が開かれ、「原爆の子」は代表作「裸の島」とともに、オープニング作品として同28日まで1週間上映される。米国では95年に西海岸の大学の博物館で上映されたことがあるが、本格的な紹介は初めて。原爆投下国での反響が注目される。

 フランスのカンヌ国際映画祭に53年出品された際には、米国の圧力を受けた外務省が、受賞妨害工作を試みていたことが、89年に公開された外交文書と関係者証言で明らかになっている。

 「原爆の子」は、広島出身の新藤監督が「故郷を木っ端みじんに吹き飛ばした」原爆への怒りと悲しみを込めて、自ら脚本を書き、広島でロケ。被爆の惨禍を初めて真っ向から描いた反戦映画として評価されている。

 回顧展は5月5日まで開催。新藤監督作品にほれ込んだ人気俳優ベニチオ・デル・トロさん(44)がディレクターを務め、計10本を上映する。高齢の監督に代わり、次男で近代映画協会社長の新藤次郎さん(62)が出席する。(共同)
 
<原発震災への対処>
知識を獲得し、汚染される覚悟を持って、楽天的に!

一部引用・・

今は、みんな「貧乏くじは当たらない」と楽天的な願いを持ちましょう。今はあくまで楽天的に、悲観を先取りせず、悲劇の確率を最小限に食い止めることです。あくまで楽天的に憲法の精神で、『個の尊厳』を守ることでやり遂げましょう。

全文はこちら

基準は変えず、個人の安心に軸を置いて、がんばらない対処を

一部引用・・

福島第一原発の状況は依然として不安定でこれからどうなるかは予断を許しません。現在、現場で状況改善のために作業を続けている多くの方に深い敬意を表します。

さて、周辺の空中放射線濃度が高まり、ほうれん草や原乳から放射能が、また原発付近の海水から基準値を上回る放射性物質が検出され、さらに23日には東京の水道からも乳児の「基準」を越える放射性ヨウ素131が検出されたことから、東京は安全だとか安全ではないとか「1年間食べ続けると初めて健康に影響が出る可能性がある」とか、様々な報道が広まっています。

全体に、政府やマスメディアは「安全」と言っており、これまで核汚染の危険を啓発してきた団体は注意を呼びかけています。

十分な説明をせずに「「心配ない範囲内である」という点では普段と同じ」と言うのは、多くの人にとって不安を煽ることにしかなりませんし、風評被害を恐れて情報を開示しなければかえってやむない「風評被害」が広まります。

そこで、改めて、最も基本的なことを、定められた基準から整理してみました。「当たり前」のことですが、情報が多すぎると「当たり前」のことが何だったかわかりにくくなるので。以下は、原発に反対している活動をしてきた人から見ると保守的な立場に立っていることになるかもしれません。

全文はこちら

文章を書いた矢ケ崎沖縄大学名誉教授のプロフィル:

1943年、東京生まれ、長野県松本育ち。名古屋工業大学計測工学科卒、広島大学大学院理学研究科(博士過程)物性学専攻単位取得満期退学、理学博士、(広島大学)。
 
2011年03月26日(土)
「人生備忘録」から・・
ブログ「東京イラスト写真日誌」(こちら) から引用

あと3枚の名言が掲載されてます。

同ブログの「行くひと、来るひと、留まるひと」はこちら

同じく「再処理やめて再スタート」はこちら
 
吉田福島原発所長の判断があったからまだ今がある。
☆今回の未曽有の大事故でも、この非常時の全体処置を現場の親方に頼っている。この吉田さんという親方(所長)の存在は本当にありがたい。 
 しかし彼にはこれから起こりうることへの全体の指揮権はない。
顔が見える東電の技術担当最高役員などが前面に出て指揮すべきだろう。

また、原発事故の現状と対策については枝野内閣官房長官ではなく、東電の役員が前面に出て国民と世界に向けて説明をしていって欲しい。

東電は、弁護士上がりの枝野さんにいつまで、自らの代役を負わせるのだろう。

一部引用・・

ある政府関係者は東京電力の対応に怒りをあらわにする。

「(3月14日に)2号機の燃料棒が露出したとき、東電側は『全員撤退したい』と伝えてきた。撤退したら終わりだった。絶対に止めなければならなかった」

 あの時点で撤退とは無責任極まりない。この政府関係者は、事故の初動から東電の対応に不信感を抱いていた。

   中略

「放水作業のなか電線工事をすることは作業員の安全を確保できるものではなかった。何が起こるかわからないからだ。本店と現地は何時間も議論した。本店は『自衛隊の放水は止めてもらえ』とまでなった。だが吉田所長が『やる』と判断した」

 ぎりぎりの選択だったが、この工事は成功。現場でも本店でも拍手が起きた。「本店がいろいろと言っても吉田所長は『評論家はいらない』と取り合わなかった。彼がいなければ現場も本店もパニックだったろう」(東電関係者)。

全文はこちら
 
福島原発の現場の作業者の電話インタビュー 他
地上の星 - 本当の「フクシマ50」

   こちら

日本の不幸~矢面に立たないリーダー達

   こちら
 
福島原発の現状と 石橋克彦さんの国会証言
Fさま

教えて頂いた、石橋克彦さんが2005年に国会で話された証言内容は、怖いほどこの3月に日本で起きた原発震災のことを予測していますね。

現在多くの人がこのサイトにアクセスして読んでいるようです。

これを読んだから、知ったからと言って、すぐに行動なり生活を
変えることが出来ないのは辛いところですが、改めて読み返しています。

◎そしてまた、昨日福島第一原発の3号機だけが原子力発電の燃料が他と異なっていることをネットで知り、次のような田原総一朗のメルマガでも知りました。

「しかし、それよりも深刻なことがある。
黒煙をあげた3号機である。
自衛隊や消防がテレビで一生懸命に放水している。
なぜ3号機にみんな一生懸命なのか。

それは、1号機から6号機のなかで
3号機だけ特別の原子炉だからである。
3号機はプルサーマルなのだ。
プルサーマルだと何が問題か。
プルサーマルは使用済燃料をリサイクルするので
非常に効率はいいのだが、燃料にプルトニウムを利用している。
プルトニウムは非常に危険なものだ。
もし3号機が爆発したらプルトニウムが拡散する。」


◎また、昨日内部被ばくの概念を知りました。

レントゲン照射などを例にする外部被ばくとは全く別物
のようですね。

ユーストリームで言っていましたが、

内部被ばくを避けるために当面、個人として出来るのは、

・雨の降り始めは傘をさしての外出もしない。

・葉菜類は水道の流水で念入りに洗う。

・外出から帰宅したら、玄関先で衣服をよくはたいて埃を落とす。

・空中の放射能物質はマスクでは防ぎきれないが
花粉症用のマスクは多少なりともブロックする可能性がある。
 いずれにせよ気休めでも外出にはマスクをした方がいい。

などのようです。

昨夜、ブログに掲載したユーストリームのやりとりは4時間を越えます。上記のようなことがかなり話されています。

テレビ局には絶対呼ばれない、医療現場を歩いてきた世間的には
エラクない研究者や医者が何人か電話口に出て話をしています。

一人の人は、現場に行かないと何もわからないと沖縄から
昨夜福島に入り、福島で電話で参加しています。

これからは「見ざる言わざる聞かざる」で過ごすのも一法。
また、「カッと目を見開き、耳の穴をかっぽじって」見たくもない
聞きたくもないことを見聞するのも一法。
ここまで来れば その選択にいい悪いはありません。

「最悪の想定」は日本人である私にはとても受け入れたくないことだと、
あらためて実感しています。

 阿智胡地亭 辛好 拝
 
あえて最悪のシナリオとその対処法を考える
全文引用・・ 作業員が被曝し、タービン建屋内の水から通常の1万倍の放射能が検出されするなどの事態を受け、遂に原子力安全・保安院は25日、福島第一原発3号機で「原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」ことを認めたが、実際は津波や相次ぐ爆発、海水注入や放水などの影響で、ほとんど全ての計器類が止まっているため、政府も東電も肝心の原子炉が現在どのような状態にあるのかを正確には把握できていないのが実情のようだ。 大量の核燃料が入った原子炉が相当の損傷を受け、しかもそこから核燃料が漏れ出している可能性があるにもかかわらず、「確認ができないので不確かな情報は出せない」というのが政府・東電の一貫した立場のようだが、果たして本当にそれでいいのだろうか。しかも、燃料漏れが指摘される福島3号機は、プルトニウムを含むMOX燃料を使ったプルサーマル原子炉なのだ。 不必要なパニックは避けなければならないことは言うまでもない。しかし、人体や環境に長期にわたり不可逆的かつ深刻な被害をもたらす原発事故は、予防原則の立場に立ち、常に「最悪の事態」を想定して対応する必要があることも事実だ。  そこで、今週のマル激では特別番組(無料生放送)として、ここまで確認された情報をもとに、あえて現在の原子炉がどのような状態にあり、そこから想定し得る「最悪の事態」は何なのかを、専門家らとともに検証する。また、そのような「最悪の事態」にどう対応すべきかについても、放射線の専門家らに意見を聞く。引用元と、専門家の意見聴収の動画はこちら
 
2011年03月25日(金)
原発事故、国外への波紋
☆福島の原発から放出されている放射能は山や県境を越え、海や大陸や国境も越えて地球の上を流れている。アメリカもドイツもフランスもパソコン上で、
「Fukushima」の原発からの放射能の拡散状況を刻々と注視している。

例えば、フランスのIRSN(放射線防護原子力安全研究所)が行っている放射能雲のシュミレーション こちら

日本語と英語のIRSNのサイトはこちら

ドイツでは3月20日のドイツのザクセン・アンハルト州の州議会選挙に福島原発事故が大きく影響した。

以下全文引用

2011/03/23 23:00 47トピックスプレミアム

東日本大震災の余震が続き、被災者には容赦のない寒気が襲っている。被災者のみなさんや、その救援や生活の立て直しに奔走する関係者には改めて心からのお見舞いを申し上げたい。
 被災者の救援とライフラインの復旧、原発の安全確保、農産物の汚染対策、国内には取り組むべき課題が山積しているが、今回はあえて目を海外に転じたい。福島第1原発問題が、国境を越えて各国の内政にも波紋を広げ、社会に変化を起こしている、という話だ。

 この20日の日曜日、ドイツのザクセン・アンハルト州で州議会選挙があった。ベルリンの南西にあり旧東ドイツに属していた。余り注目されていなかったが、この選挙で反原発を掲げた90年連合・緑の党が5年前の前回選挙から倍増の7・1%を獲得した。前回は議席獲得に必要な5%の得票率を得られなかったが、今回は議席進出を果たした。福島原発事故が票を掘り起こしたと見られている。

 メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)の得票率は32・5%と前回から3・7ポイント減らしたが第1党を維持した。
 選挙の直前、メルケル首相はドイツのエネルギー政策の舵取りを「脱原発」の方向に切り直していた。ドイツには原発が17基あり、総発電量の4分の1程度を占めている。もともと反原発の環境保護派の力が強く、フランスの75%に比べて原発依存度は低い。

 98年から2005年まで政権についていた当時の社民党主導の大連立政権は全原発を21年までに廃炉にする「脱原発」政策を打ち出した。09年にメルケル首相の小連立政権が発足すると脱原発の期限を先伸ばしする「脱・脱原発」への方向に動き始めた。原子力を新しい代替エネルギーが普及するまでの「つなぎ」と位置づけ、ある程度の期間は原発を稼働させる、という方向だ。

 福島原発事故が報じられると、メルケル首相は素早く方針を変更し、旧式の原発7基を一時停止する、と発表した。「日本の原発危機がすべてを変えた。安全管理に定評のある日本でさえ事故を防げなかった」ことを理由に挙げた。
 福島の事故は米国のエネルギー政策にも影響を与えている。オバマ大統領は地球温暖化対策の観点から二酸化炭素(CO2)排出量の少ない原発建設を促進する方針を打ち出している。

 共同通信によると、クリントン米国務長官は16日、米テレビとのインタビューで、福島第1原発事故に関して「原子力発電の代償や危険性を考えさせるものだ」と述べ、電力の2割を原発で賄っている米国は、包括的なエネルギー政策を策定することが必要だと訴えた。
 オバマ大統領にとっては福島での事故は想定外の事態だったに違いない。原発の安全性に深刻な懸念が生じれば、クリーンエネルギー政策の遂行に障害となる。大震災発生直後からオバマ大統領が菅首相にひんぱんに電話を入れて、あらゆる支援を約束したのもうなずける。
 代替エネルギーの普及まで原子力の利用が制限されれば、後はとりあえず石油でまかなう他はない、という判断にも行きつく。

 米英仏、西側諸国のリビア爆撃があれよあれよという間に展開したのも、石油の分捕り合戦の一端ではないのか、と思う。2007年12月、リビアの最高指導者、カダフィ大佐はフランスを訪問し、サルコジ大統領から国賓待遇の大歓迎を受けた。それから3年余り、今度はフランスの戦闘機がカダフィ大佐の命を狙って出撃した。
 あれも石油資源確保のため、これも石油資源確保のため。そういう世界に、私たちは生きているわけである。
    (2011年3月23日 今井 克)

東日本大震災を試練に日本は自信を取り戻す
  ――英メディアが見た大震災下の日本


一部引用・・

原発自体に人に恐怖感を抱かせる側面があって報道は大々的だが、逆に、津波の被害に関わる報道が比較的小さくなっているような気がする。津波の被害の全貌がまだ明らかになっていないせいもあるだろう。
 
 私が疑問に思うのは、原発事故と津波の被害との報道のバランスが正しいかどうか、という点だ。数十万人が避難状態になり、十分に食物が配布されていない、高齢者が特に苦しんでいるという報道が出ている。原発事故の展開に注目が集まる中で、津波や地震の被害の現状を伝え、必要な支援が届くための作業がおろそかになるのでは、と懸念している。

――先が読めない状況で、どうやって解説記事を書くのか?
 
 一つにはまず、過去の災害状況との比較だ。『エコノミスト』としては、1995年の阪神淡路大震災など過去の災害時に政府がどのように対応したのか、情報公開の透明性に関して、あるいは政府の問題処理能力はどう変わったのかを比較し、解説を始めてゆく。

 政府や自治体当局などが、95年の阪神淡路大震災をうまく処理できなかったのは誰しもが認めていると思う。今から思うと、災害処理は、当時の政治体制を反映していたのだと思う。経済バブルが破綻してほぼ5年。破綻後の不景気から完全には脱していなかった。当時、国民は政府が何とかしてくれるだろう、政府は善で、国民のために働いてくれるだろうと信じていた。

(1)から(5)までの全文はこちら
 
「こんな話」を読みました。 3月25日 その2
☆この列島に住む住人が毎日読んだり見たりしている大新聞とテレビ。世界の資本主義国で新聞とテレビが同じ資本系列であることを認めている国は日本だけだ。

以下の話は日頃自分が思っていることを代弁してくれているように思いながら読んだ。

一部引用・・

では、日本のメディアはどう見えるのだろう?

 「日本での経験から言うと、大手報道機関のほとんどが、自分たちが知っていることあるいは考えていることを報道しない印象を持った。大手報道機関が制約を受けるのは、特に政治エスタブリッシュメントとの関係があるからだ。報道機関の所有者と権力者側との馴れ合い関係があるからだ。不健全な関係であり、時にはプロとしてのレベルに達しない報道になってしまう」。

政治エスタブリッシュメントは政治家、政治界で働く人のみならず、政治家に近い学者なども入るだろう。


中略

日本で起きている「静かな革命」、つまりは、民主党政権の発足を国民が選択したこと、インターネットメディアの勃興・成長、若者層が様々な意見を出すようになってきたことなどの話になり、最後は、「メディアは変わっていると思うか」という質問になった。これは東洋経済のネットの記事にも出ているのだが、

日本のメディアは「あまりにも政治エスタブリッシュメントに対して、慇懃・ていねい過ぎる」という話になる。

 ジーグラー氏は、日本の大手報道機関が、政治エスタブリッシュメントに非常に丁寧すぎて、本当の問題を国民のために報道しないことを指摘する。「これは日本のメディアの大きな弱点だ」。


 面白いのは、同氏は東京支局長だったころ、同じ質問を何度もされたという。日本のメディアを論評して欲しい、と。答えはいつも同じだったという。「テレビ局にも何度も同じ質問を受けた。しかし、私が今のように答えると、インタビューの後、私のコメントは一度として、放映されることはなかった」という。―取材をしているときのトピックにあわなかったので放映されなかったかもしれないが、お互いに、沈黙してしまった瞬間だった。
(太線は阿智胡地亭による)

全文はこちら

☆この30年間、日本では新しいテレビ局の開局の認可を国は下ろしていない。堀江貴文はフジテレビを買収しようとしてお上の虎の尾を踏んで、粉飾決算容疑で特捜に逮捕されフジテレビの買収は出来なくなった。

お上の秩序を狂わせるものは許さん!!わかったかこの若造の新参者めが!!

いまホリエモンこと堀江貴文のツイッターには今日時点で65万6千人を越えるフォロアーがいる。少しずつ社会を変えてきた日本人。それが日本の強みだと思う。

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2011年03月24日(木)
赤ちゃんに健康被害なし 産科婦人科学会が見解
2011/03/24 18:02 共同通信

東京都などの水道水から乳児の摂取基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える放射性ヨウ素が検出された問題で、日本産科婦人科学会は24日、「現時点では妊娠中や授乳中の女性が連日飲んでも、母体や赤ちゃんに健康被害は起こらないと推定される」との見解を発表した。

 同学会は米産婦人科学会の推奨に基づき、胎児に悪影響が及ばない胎児の被ばく量は50ミリシーベルト未満としている。母体の被ばく量(ミリシーベルト)は、摂取したベクレル総量に2・2をかけて10万で割ることで計算できるという。

 東京都が23日に発表したのは「1リットル当たり210ベクレル」。約280日の妊娠期間中に毎日1リットルを飲むとベクレル総量は5万8800ベクレルで、母体の被ばく量は約1・29ミリシーベルトとなる。胎児の被ばく量は、母体の被ばく量より少ないとされるほか、母乳中に含まれる放射性ヨウ素は母体の摂取量の4分の1程度と推測され、これらを考慮しても50ミリシーベルトより十分低くなる。

 妊娠女性は、体の中の水分が不足しないよう注意する必要があり「喉が渇いた場合は決して我慢せず、水分を取ってほしい」と助言。ただ被ばく量が少ないに越したことはないため、ミネラルウオーターやジュースなどがある場合にはそれらを飲むことを勧めている。(2011年3月24日 共同通信)
 
東京の水52ガロン飲まなければ米国の年間許容量に達せず=米専門家
ウォールストリートジャーナル日本版
2011年 3月 24日 12:05 JST

一部引用・・

東京の水道水から基準を上回る放射性物質が検出されたが、米国の放射線の安全性に関する専門家らは大半の人の健康への影響は軽微とみている。

 水道水から乳児の摂取基準の2倍を上回る放射性ヨウ素131が検出されたのを受け、東京都当局者は乳児の摂取を控えるよう警告した。成人については基準値の範囲内だという。

 放射性ヨウ素は妊婦や子どもが摂取すると甲状腺に蓄積して成長を阻害する危険がある。

 だが、ニューヨーク州トロイのレンセラー工科大学のピーター・カラカッパ原子核工学教授によると、米国の1年当たりの放射線の被曝上限値に達するには、東京の水道水を52ガロン(約197リットル)飲まなければならないという。

全文はこちら
 
福島第一原発1号機、核燃料溶融の可能性も
2011年3月24日01時21分 読売新聞

. 福島原発

 国の原子力政策の安全規制を担う、原子力安全委員会の班目春樹委員長は23日夜、東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所の事故後初めて記者会見を開いた。

原子炉の被害について尋ねられた同委員長は「(水素爆発した)1号機の核燃料はかなり溶融している可能性がある。2、3号機に比べて、最も危険な状態が続いている」と指摘。原子炉内の温度、圧力の異常上昇が続き、危険な状況にさしかかっているとして、「(炉心が入っている)圧力容器の蒸気を放出する弁開放を行い、炉の破壊を防ぐ検討をしている」ことを明らかにした。

 同原発1~3号機の原子炉の燃料棒は露出し、海水の注水作業が続けられている。23日、1号機の炉内の温度は一時、400度と設計温度(302度)を上回ったが、注水によって温度が下がっている。しかし、圧力の上昇が続き不安定な状態になっているため、班目委員長は「24日にも、圧力容器内の蒸気を放出するかの判断をする」と述べた。

記者会見の動画
 
水道水と乳児のミルク
日本では建国以来空気と水は安全だった。

しかし東京都では、乳児のミルクを溶くのに水道水を使わないようにとの国家の指示が出た。自民党が政権を取っていたままであれば、都民にいたずらに不安を煽るようなこんな指示が出なくて済んだかもしれない。

現在の54基の原子力発電を全て認可したのは自民党政権時代だから
水道水が多少汚染されたくらいでは、菅政権のようにオタオタせずに公表を押さえてくれていたかも知れない。我々クニタミはその方が心の平安を保てると思う(乳児は甲状腺障害を起こすかも知れないが)。

今朝こんなメールをある方に返信した。

「○○さん

昨日、テレビを見て急遽、離乳食のレトルトと缶詰を買いに行きました。乳児用の離乳食を作るのにも水道水が使えないのでは困ると聞けばなるほどその通りです。これから宅急便で送ります。

それにしても原子力発電所が、ここまで人間の手では「制御不能」になる恐れのある設備とは思いませんでした。

 今度のことで、原子力発電促進のための経産省OBが天下っている法人が多数あることと、それらに採用されて、安全を周知するために動員されてきた評論家の多いことを知って驚いています。

この広宣活動費に経産省は毎年、大きな予算を割いているので、この潤沢な出金(我々が払っている国税の一部ですが)にぶらさがって多くの団体や、ジャーナリストや評論家が長年メシを食ってきたようです。

そういえば週刊文春、新潮、ポストなどに毎号、日本各地の原子力発電サイトの訪問記事を見てきました。

彼らは放射能汚染の状態になってもまだ、しぶとく原発巻き返しの発言を始めていますが、乳児の身内を持った人間からすると本当に信じられない言動だと思います。」

○参考エントリー

以下「永田町異聞」より全文引用

原子力を弄ぶ罪深きジャーナリストたち

この国の原子力行政は、地震国であるという厳然たる事実に、真摯な姿勢で向き合ってきたのだろうか。

平成17年に内閣府の原子力委員会が策定した「原子力政策大綱」を見てみよう。

今年から新大綱の策定作業がはじまっているが、いまのところ17年の大綱が生きており、すくなくともこれが現下における日本の原子力行政の基本的な考え方といえる。

驚かされるのは、219ページにおよぶ文書のなかで、「地震」という言葉が出てきた箇所を調べてみると、わずか2か所に過ぎないことだ。

最初に登場するのは9ページで、こういうところに使われている。

「原子力施設の設計・建設・運転に当たっては、地震等の自然現象に対する対策はもとより、設備の故障や誤操作に起因して、内在する放射性物質が国民の健康に悪影響を及ぼす潜在的危険性(リスク)を抑制する安全対策と、妨害破壊行為のリスクを抑制する防護対策を確実に整備・維持する必要がある」

「地震など自然現象に対する対策」と、通りいっぺんの記述があるだけで、具体的な対策の中身は示されていない。

次に25ページのこの部分。「なお、国は、国内外において大きな地震が相次いだこと等から、原子力施設の地震リスクについて国民の関心が高まっていることに留意するべきである」

国は留意すべきである、というだけだ。大きな地震が相次いでいると言いながら、それを、たとえば地球規模で何らかの変動が起きているのではないか、などと敷衍して考察することもなく、あくまで鈍感に「地震と原発」という重大な課題を通り過ぎる。


原子力委は初めに原発推進ありきの議論でOK、地震対策はその分野の専門家が取り組めばいいという、霞が関的なタテ割り発想が、26名の有識者をそろえたはずの会議に見てとれる。

国の原子力行政の基本において、地震への万全の備えという、国民の命を守る姿勢そのものが抜け落ちているのである。

では、昨年6月にまとめられた資源エネルギー庁の「エネルギー基本計画」では「地震」という言葉が何回出てくるだろうか。これも「総合資源エネルギー調査会」なる有識者の審議を経ている。

まず3ページ。「テロや地震などのリスクは減じておらず、エネルギーの輸送・供給や原子力などについては一層の安全確保が求められていく」
次に31ページ。

「安全規制を取り巻く近年の大きな環境変化を踏まえた上で、必要な取組を実施してくことが重要である。具体的には、安全審査制度における品質保証の考え方の取り入れや検査制度における品質保証の取り入れの拡充、大きな地震動を受けたプラントの点検方法の標準化・マニュアル化、トピカルレポート制度28の対象分野の拡充、リスク情報の活用方策等について検討する」

原子力政策大綱と同様、「地震」という言葉が出てくるのはこの2か所だけである。どんなにコストがかかっても地震への備えを万全にしておくのだという姿勢は微塵もうかがえない。

原子力の平和利用を唱える以上、なによりも「地震対策」という項目を掲げ、原発の是非論も含め、議論するべきではなかったか。

大地震を想定しておかねばならないはずのこの国で、原子力行政に携わる官僚や民間の有識者が、ほとんど本気でその重要な問題に立ち向かおうとしていないことは、驚愕すべきである。

もとより下記のような霞ヶ関作成の原発増設プランを前提にし、アリバイ的に御用学者や評論家、ジャーナリスト、財界人を集めて審議しているのだから、いまさら嘆いても仕方がないことかもしれない。

「2020 年までに、9基の原子力発電所の新増設を行うとともに、設備利用率約85%を目指す。さらに、2030 年までに、少なくとも14 基以上の原子力発電所の新増設を行うとともに、設備利用率約90%を目指していく」(エネルギー基本計画)

原子力委にしても、総合資源エネルギー調査会にしても、議事録を読んでみると、いつも威勢よくメディアで発言している評論家やジャーナリストが、委員として惨めなほどにズレた議論をしていることに気づくことがしばしばある。

例に出して恐縮だが、ことし1月31日に開かれた原子力委員会・新大綱策定会議における青山繁晴氏の発言は次のようなものだった。


「原子力発電が集中立地している若狭湾では、雨が降ったとき、自然界の放射線量がどれぐらい増えるかというと、大体170nGy/h(ナノグレイ・パーアワー)までいくんです。ところが、原発が地震で揺らされたとして、使用済み核燃料棒のプールの水とかが仮に漏れたという被害であれば、170nGy/hまではとてもいかない。すなわち自然界の放射線量を超えることがない。環境への影響はない。中越沖地震で柏崎刈羽原発の使用済み核燃料棒のプールから水が漏れましたが、IAEAの調べでも環境への影響はなかったことが確認されている。しかし社会的には、こうした事実がまったく知られていなくて、環境が汚染されたかのような事実誤認がある。(中略)必ず巨大地震というのはやがて来るわけですから、そのときに何が起きているかということを地元の方あるいは国民全体がフェアに、客観的に判断できるような教育を今から積み上げることが大事ではないかと思っています」

この青山氏の発想からは、日本の原発がどうやって地震に備え、安全を確保すべきかという視点は完全に欠落している。

そればかりか、原発が巨大地震に見舞われたときに国民全体が「フェアに客観的に」判断できるよう教育すべきであるという趣旨の発言は、つまるところ「地震国の国民として少々の放射能で騒がない教育が必要」とも受け取ることができる。自然と人間に対する恐るべき傲慢さといえないだろうか。

ちなみに170nGy/時は、0.136マイクロシーベルト/時である。福島第一原発3号機北西0.5キロにおける放射線量が一時、5000マイクロシーベルト/時を超えたのは周知のとおりだ。

福島市の県北保健福祉事務所で3月22日11時に観測した数字が6.53マイクロシーベルトで、青山氏が持ち出した170nGyすなわち、0.136マイクロシーベルトの48倍という計算になることを考えると、いかに原子力委でいい加減な議論が行われていたかがわかる。

3月25日に開催される予定だった原子力委の会議は延期されたが、次回会合でも青山氏は同じ考えを貫けるだろうか。

かつて内橋克人氏は、行政や電力会社に支給されるデータ、紙に書かれた情報をマル呑み込みする知識人たちの説く「原発推進論の無知蒙昧ぶり」(内橋克人「原発への警鐘」)を嘆いた。

財団法人「日本原子力文化振興財団」が1000人のジャーナリストを選び「PA(パブリック・アクセプタンス)戦略」と呼ばれる原発推進洗脳作戦を繰り広げたことも、内橋氏は厳しい視線で書いている。

また、鎌田慧氏はその著書「原発列島を行く」(2001年)において、「言論買収」という激しい言葉で、マスコミにはびこる原発信奉者を糾弾している。

「政府資金は、膨大な広告費として、新聞、雑誌、テレビなどのマスコミを汚染した。言論買収といってもまちがいない。また、原発の信奉者は、これまで数多く輩出した。かつては大熊由紀子(朝日新聞)、最近は上坂冬子(作家)などが、宣伝に貢献している。上坂は電力会社の『助さん格さん』にともなわれてアジア各地の原発事情をみてまわり、原発賛美の記事を書いている」

いまこそ、ジャーナリストや識者といわれる人々が目を覚ますべき時だ。経産省の幹部が原発関連企業に天下りし、電力会社が地元にカネをばらまき、原発を「クリーンエネルギー」だとうそぶいて推進してきた結果が、この惨状だ。

国が一刻も早く脱原発にエネルギー政策を転換し、代替エネルギーの開発を強力に進めるため、識者、ジャーナリストは霞ヶ関におもねる姿勢を改めねばならない。もはや世論をミスリードすることは許されない。

 新 恭  (ツイッターアカウント:aratakyo)


  原子力関係・経済産業省管轄の独立法人等リスト
日本原子力学会

サイトの前文:

日本原子力学会は,原子力の平和利用に関する学術および技術の進歩をはかり,原子力の開発発展に寄与することを目的とする我が国で唯一の総合的な学会です。
International Nuclear Societies Council / Pacific Nuclear Council 加盟

日本原子力開発機構

理事長ご挨拶:
 このたび、8月17日付けをもって、日本原子力研究開発機構の第3代理事長を拝命することとなりました。
 原子力機構は、旧原子力二法人(日本原子力研究所並びに核燃料サイクル開発機構)の長い歴史と業績を基にして、平成17年10月、我が国唯一の原子力に関する総合的な研究開発機関として発足しました。これまで、原子力機構が、第1期中期計画期間を通じて国民の皆さまをはじめ、国内外の関係者の皆さまの期待に応えられる確かな研究開発の成果、さらに安全と信頼を大前提とした効果的、効率的な研究開発組織運営の礎を築いてきたことに関して、元理事長、岡﨑俊雄前理事長ご両人の献身的なご尽力に感謝申し上げます。私は、原子力機構発足により新たに築かれてきているこれらの伝統をしっかりと引き継ぎ、私自身の経験も活かして第2期中期計画の達成に全身全霊を傾注してまいる所存です。
 昨今、エネルギー安全保障と地球環境問題が重要な課題として認識されておりますが、私は、原子力技術がこれからの人類の持続的な発展を支えていく上で果たすべき役割が極めて大きいものと確信しています。グリーン・イノベーションやライフ・イノベーションを骨格とした政府の国家成長戦略においても、我が国の持続的発展の基幹となるのがエネルギーの安定確保と科学技術の振興であり、その中にあって原子力の研究開発を行っている原子力機構の使命はますます重要なものになっていくと考えています。
 今年度開始した第2期中期計画では、安全と信頼を大前提として、「もんじゅ」をはじめとする原子力エネルギーに関する研究開発を中心に、引き続き主要事業への重点化を行い、研究開発成果を着実にあげていくとともに、一層のマネジメント強化を行い、計画的かつ効率的で透明性のある事業運営を目指します。また、国内外の原子力人材の育成、国際的な原子力安全、核物質防護及び核不拡散のための諸活動に対し、技術面、人材面において積極的に参画し、総合的研究開発機関として貢献してまいります。
 全国11ヶ所に研究拠点を置く原子力機構の事業は、拠点立地地域の皆さまをはじめ、国民の皆さまのご理解なくしては成り立ちません。原子力機構に対して、皆さまの一層のご支援とご指導を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
(平成22年8月17日)

日本原子力文化振興財団

サイトの財団紹介;

  人類が生み出した科学の粋、といわれる原子力が、社会において成熟したものとなるためには、その科学技術を文化社会の中に融合させることが大切です。
  日本原子力文化振興財団は、原子力の平和利用に関する知識の普及啓発を行い、その必要性についての認識を高め、原子力が明るい文化社会の形成に寄与することを目的として、昭和44年(1969年)7月に設立されました。
 地球環境への負荷の小さいエネルギーである原子力に、国民の積極的な支持と協力を得るためには、きわめて幅広く、かつ多岐にわたる活動が求められます。当財団は、発足以来、設立の趣旨にのっとり、多種多様な事業を展開し、原子力への理解を深め、不安や疑問を払拭していただくための努力を続けてまいりました。
 今後も、広く一般の方々との『対話』を重視して、原子力が明るい文化社会の創造に役立つよう、諸活動を進めてまいります。


下記団体の詳細についてはそれぞれのHPをご覧ください。

○日本原子力発電
○日本原子力研究所
○日本原子力委員会
○日本原子力安全委員会
○日本原子力保安院
○日本原子力発電(株)
○日本原子力安全協会
 
JR宝塚線事故裁判 検事調書の扱い
☆検察官の調書が裁判所で不採用になるなどということは、少し前までありえなかった。法曹ムラの中のなあなあが解消されてきたのか、
法務省と裁判所の間の本来の機能分担が生き返ってきたのか?

どんな仕組みも組織も、結局はそれを運用するのは人間だ。

 60数年政権交代がなかった国では、司法の組織も水が淀んで腐っていた。目に見えないくらい細い水脈でも、司法の池にも新しい水が入ってきたと思いたい。

元部下の供述調書、大半不採用 JR宝塚線脱線裁判
2011年3月22日13時55分 asahi.comから引用

 JR宝塚線(福知山線)脱線事故で、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長の山崎正夫被告(67)の第13回公判が22日、神戸地裁であった。岡田信(まこと)裁判長は、検察側が証拠として採用するよう求めた山崎前社長の元部下ら4人の捜査段階の供述調書計8通のうち4通について、「信用性が低い」などとして採用しないことを決めた。残り4通のうち安全対策などに関する供述内容についても証拠採用しなかった。

 一方で、元部下の「山崎前社長に対して半径450メートル未満のカーブに自動列車停止装置(ATS)を整備するという社内基準を報告した」とする供述など、検察側の主張に沿う調書内容の一部は証拠採用した。

 4人は事故現場カーブ設計担当者(調書1通)▽ATSの開発・整備担当者(調書2通)▽元安全対策室員2人(調書5通)――で、山崎前社長が鉄道本部長当時の部下ら。捜査段階で「前社長は危険な箇所へのATS整備に消極的だった」などと説明し、前社長がATSの必要性などを認識できたのに整備を怠ったとする検察側の主張に沿う供述をしたとされていた。だが、証人として出廷した公判では「意に添わない調書が作られた」などと証言し、調書内容を翻していた。

 決定は、ATS開発・整備担当者の1通と元安全対策室員1人の3通に関し「供述内容が抽象的で信用性が低い」などと判断。「検察側は尋問で証人から具体的な供述を引き出していない」とも述べ、公判での説明と食い違う検察官調書について、証拠採用を求めることを認めた刑事訴訟法の要件を満たしていないと指摘した。

 残り4通の中で証拠採用した部分についても「法廷での説明には疑問があり、相対的に調書のほうが信用性があると判断したが、積極的に信用性を認めたわけではない」と述べた。捜査段階における検察官の供述の誘導など、取り調べの不当性については言及しなかった。

 岡田裁判長は次回公判の31日、4人と同様に公判で説明を翻した別の元部下ら3人の調書計3通についても証拠採用するか判断する。(沢木香織、佐藤卓史)

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