柿がいろづき地味な着物の人がゆく
柳の葉のちるところ籾舟が着いた
ちゃぶ台大きくて寺の座敷秋立つ
雪が荒れてくる青空四囲が雪の山脈
早春茶を呑んでいて静かなる山に対す
古稀賀莚 七十年を顧みて
畠はこべが青しわが身のまわり
慈雲寺
夕立一過 松が雲を呼ぶかのおもい
一碧楼師句碑除幕式 二句
水平らかの句碑なり こゝ野菊の丘
先生すたすた来るおもい 木の柿色づき
耶馬溪羅漢寺 二句
鶯鳴いて居て落ちそうな岩がうしろ
山みづ百丈の岩を伝って落ちる青い冬草
香椎宮 二句
春のうすら雪にこぼれて居る椎の実
帽子ふかくかぶり並木椎の木
悼 泊 雨川
水は流れゆく百日草つぎつぎと咲く
おとろえのからだを立って見る地に雪の下の花
道のべあかざほほけたり足よわりたり
妻と共に病む
蝿を追ってやる枕並びていてもどかしく
まだおとろえぬ気魄紫陽花色替えて咲く
絶句
秋めく布団にいて世の中へ感謝している
岱風翁 追悼句
青い柿の一つが落ち晩が来た 鵞水城
ミシン今は主なくして残暑厳しく 不雪郎
しのび来し秋とつれ立ち岱風仏 沢 瀉
下駄のゆるい緒が行くとなくこほろぎ草に啼く 黙 天
八剣社の残暑群ら雀鳴きやめた 松 平
この句岱風さん水鉢苔深く唐沢の秋 羽 人
ひとり露草をふまず無の空へくる秋 博 敏
雨待ちて雨降り葱枯るる日 柿葉村
八ヶ岳に秋きし細い杖ついて立ちしか 満寿雄
百日草今日もその形夕べとなる 青 樹
ものもの音なし冷えて秋の湖星が流れる 霞
雪に消えて一人立つ地の冷えて鳴く虫 まなぶ
雨雲月をおおい冷気われを抱く 正比古
御霊送る二百十日の念仏会 蔓 橋
五十年の友逝きにけり秋の空 机 遊
二百十日その日岱風のぼり逝く 浪 舟
生活世を逝く世に野花実の尽きず 二 松
庵の月遺稿を修す人ありて 雪 人
夕日かげし鴨跖草ぬれ咲くを見て佇つ 和 美
秋めくみづうみの青さひろさ岱風さんいない 蒲公英
鴨跖草(おうせきそう)ーツユクサ
あとがき
色紙
0 件のコメント:
コメントを投稿