2010年1月4日月曜日

地球と生命/その進化  はじめに


「何かテーマを決めて本を読むことは楽しいことですね。」と言われる方が古希を迎えられた先輩におられます。

今回“ゲストルーム”にその先輩が「地球と生命/その進化」と言うテーマで論考されてきた内容をシリーズで順次掲載していきます。論文にはこの分野の最新の知見が系統立ててまとめられています。最初読ませて頂いたとき、自分が長年関心を持っていた内容でもあり、面白くて興味深くて一気に最後まで読んでしまいました。

快くブログに掲載をお許し頂いた「荒木泰治」さん、ありがとうございます。
以下シリーズの第一回目です。
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  <地球と生命/その進化>    荒木泰治

序 ― 宇宙の中の地球と人間 ―

“宇宙には本当に「始まり」があったのか。仮に無限の昔から今のような宇宙が存在したとすればどうだろう。当然、人類程度の知的発達を遂げた生物も数限りなくいたはずだ。宇宙探査機を打ち上げたり、宇宙に電波を発する試みも無限に繰り返されたろう。だとすると、いま宇宙が人工物体や、知的生物の発した信号で埋め尽くされていない事実こそが宇宙に「始まり」があった証拠だ―という説明が何かもっともらしい理屈である。” と言う記事が05年4月22日付の毎日新聞「余禄」欄に出ていた。

現在の天文学の通説として、今から140億年前(正確には137億年前)、ビッグバンによって現在の宇宙が誕生したとされる。この宇宙の年齢はハッブルの法則(1926年発表)を基にした最近の観測で、1メガパーセク離れた天体の離反速度が70Km/sであったという測定結果を得て計算されたものである。{注1}

ビッグバンは全ての物質とエネルギーが圧縮された火の玉となって、そこにあった素粒子の、その又基本粒子が爆発し、陽子、中性子、電子、光子、ニュートリノ等が生まれた現象である。その1秒後の温度は100億度と言われ、それから温度の低下に伴い、これら粒子から水素原子核が、そしてHe、Li迄の軽元素ができる。太陽のような恒星は水素の核融合によるHeの生成によって光っているが、温度が下がって1億度位になるとHeの核融合が起こり、そして炭素ができ、更に進んで珪素そして、鉄が生じるようになる。

このようにして宇宙の天然元素が作られた。我々の夜空に淡い輝きを放って横たわる「天の川銀河」は太陽系を含む2000億個もの星からなり、渦巻きを伴った円盤状(直径10万光年、厚さ5000光年)の星の集団であるという。宇宙にはこういう星団が他に百億以上(観測されているのは数十万個)あるとされている。

その一つの天の川銀河の中に46億年前、我々の太陽系が生まれた。そして太陽の周りの塵が集まって原始地球が形成され、その後奇跡的な進化を遂げた地球が生命を育ませ、その生命は地球上の環境に影響されながら進化を続け、人間が誕生した。地球誕生以来の歴史を1年に譬えると、アフリカに誕生したとされる最初のホモ属(原人)以来、人類の全歴史が12月大晦日の夜、最後の約3時間の中に納まるほどの短い期間しか経過していない。(1日に直せば30秒程度)

今日、人間はその発達した頭脳によって文明を謳歌しているが、その文明は地球資源の枯渇と、地球環境の変化をもたらしつつある。このままではこれまで地球上で繰り返されてきたように、種の滅亡と更なる進化が始まるかも知れない。人間の発達した英知は現人類の永続策をどのように見出せるのであろうか。

{注1}: 1パーセク(PC)は3.26光年で、1メガパーセク(MPC)は、その10の6乗倍。光速は30万Km/sで、1光年は約9.5兆Kmにあたる。

                       続く

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